ホッと一息・・・

という気分になったのは、先週ある地域の手話登録者の会での研修会が無事終わったため。

テーマは「発声の仕方について〜手話通訳者に求められるもの」

手話通訳者の研修会では、まずお目にかかれない珍しいテーマかと。

手話を操る、手話通訳に発声は必要なの? という疑問の声が聞こえてきそうですが、たしかに通訳場面を思い浮かべるとき、ほとんどの方が「聞き取り通訳」(音声を聞きながら手話を表す)をイメージするのでは? 東日本大震災以来、官邸での通訳をテレビでたまに見かけますよね。

実際はろう者と聴者のコミュニケーションを助ける手話通訳としては、ろう者の手話を読み取って、聴者に伝える「読み取り通訳」の場面も大切です。ただ、対個人に対して行うことが多いため、研修の必要性をあまり感じていないのが現状でないでしょうか? そんな中で、講師の依頼を受けたので、「通訳者に必要な発声とは?」というテーマを悩みながら手探りで考えているような日々が続いていたのです。

私自身でいえば、ろう者劇団の音声ガイドや、「目で聴くテレビ」などでのボイスオーバー(読み取り音声ガイド)など、多くの対象者(聴者)に言葉を伝える「発声」に関しては、生命線といえる大切な部分ですが、今回の手話通訳者にとってはどうなんだろう・・・? 明確な答えの見えないテーマがいつも心のどこかに・・・。

最終的には、手話、日本語も操る通訳者なんだから「基礎」から話そう! という姿勢で臨みました。

ナレーションの現場、落語語り、披露宴司会の経験も盛り込みながら、腹式呼吸から、言葉を分解して発声を考えたりと、改めて自分にとっても基礎を確認する良い機会となりました。

「ろう者の映像を見ながら、聞こえやすさを意識して読み取り通訳をやってみよう!」という最終段階まで行くには全く時間が足りず、あっという間の二時間でしたが、終わった後のお声を聞くと、通訳者にとってはいつもの研修と視点が全く異なるため、新鮮な研修だったようです。

この先、このテーマでまた研修を行うことがあるか分かりませんが、自分も勉強させていただいたような気分で、講師をお引き受けして良かったと感じる今回の研修会でした。

 

 

 

 

sadacchi について

俳優・声優・手話通訳などやっています。
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